日本の色を愉しむ

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東雲色(しののめいろ)/桃色(ももいろ)

寄稿者:橋本繁美 東雲色(しののめいろ) 春はあけぼの やうやう白くなりゆく山際 少し明かりて 紫だちたる雲の細くたなびきたる  『枕草子』清少納言春は夜がほのぼのと明けようとする頃がよい。日が昇るにつれ、だんだんと白んでいく、山際の辺りが...
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白梅鼠(しらうめねずみ)/若草色(わかくさいろ)

寄稿者:橋本繁美 白梅鼠(しらうめねずみ) 白梅を思わせる微かに紅みのある淡い灰色。江戸時代は、茶色とともに鼠色が濫用された時代であり、灰色という色名よりも鼠色のほうが広く用いられた。灰白色と同じ表現でも、鼠を使えばもっと簡単に白鼠となり、...
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紅梅色(こうばいいろ)/猩々緋(しょうじょうひ)

寄稿者:橋本繁美 紅梅色(こうばいいろ) 梅の鮮やかな紅色。奈良時代以前は、花といえばその多くは梅をあらわしており、万葉の時代は梅の花は桜より好まれた。おなじみの『万葉集』に納められた120首ほどの梅の歌はいずれも白梅。その頃はまだ紅梅はな...
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韓紅(からくれない)/梅重(うめかさね)

寄稿者:橋本繁美 韓紅(からくれない) ひときわ鮮やかな濃い赤色。紅花(べにばな)エジプトやエチオピアあたりが原産地とされているキク科の植物。はるか昔、シルクロードを渡ってアジアにもたらされた紅花の由来を 「舶来」の意味と、深紅の美しさを強...
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鴇色(ときいろ)/茜色(あかねいろ)

寄稿者:橋本繁美 鴇色(ときいろ) 淡い紅色。江戸時代になると、身近な鳥が由来の色名に登場したといわれる。朱鷺(とき)は明治以降の乱獲や環境汚染によって絶滅の危機に瀕して、いまでは国の特別天然記念物、国際保護鳥に指定されている。かつては日本...
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赤(あか)/朱赤(しゅあか)

寄稿者:橋本繁美 赤(あか) 赤は日本最古の色のひとつで、「明し(明るい)」が語源とされ、それがやがて暖色系の色相を表現する色名へ変化したといわれている。古代から「火」や「血」さらには「生命」の象徴であり、魔除けの色として利用されてきた。♪...
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燻銀(いぶしぎん)/薄墨色(うすずみいろ)

寄稿者:橋本繁美 燻銀(いぶしぎん) 一年が終わり、そして始まる冬。古くから私たち日本人は、この季節の色を大切にしてきた。真っ白な雪を白粉にして、あっという間に静かに雪化粧。雪の白は私たちの心までリセットしてくれる、そんな気がする。銀色の仲...
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雪色(せっしょく)/銀白色(ぎんはくしょく)

寄稿者:橋本繁美 雪色(せっしょく) 冬の色といえば、しんしんと降り積もる真っ白な雪の色。鉛色の空をバックに舞う雪の白は単純な白ではなく、紫や紅みがかったさまざまな色に見える。「雪は天からの手紙」といったのは、世界ではじめて雪の結晶を人工的...
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鶸色(ひわいろ)/縹色(はなだいろ)

寄稿者:橋本繁美 鶸色(ひわいろ) 小鳥の鶸の羽のような明るい緑がかった黄色をいう。鶸は晩秋から初冬にかけてユーラシア大陸から日本へと渡ってくる冬鳥。この鶸色の色名は室町時代から用いられ、緑みの黄色系を表わす代表的な色名になった。室町中期か...
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翠色(すいしょく)/弁柄色(べんがらいろ)

寄稿者:橋本繁美 翠色(すいしょく) 冬の鳥カワセミは、美しく輝く渓流の宝石と呼ばれ、その羽色は緑青や紫がかった青色まで幅広い。漢字で翡翠と書き、雄を翡、雌を翠という。カワセミの名の由来は青土(そに)で、川に棲むセミが語源。セミが青土に変化...