日本の色を愉しむ

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藤色(ふじいろ)/牡丹色(ぼたんいろ)

寄稿者:橋本繁美 藤色(ふじいろ) やや青みがかった淡い紫。藤の花に似た澄んだ色を出すために蓼藍と紅花をかけ合わせている。紫が至上の色だった平安朝で、女性の美しさを引き立てる高貴な色とされてきた。藤はマメ科のツル性落葉大木で、ノダ藤はツルが...
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山吹色(やまぶきいろ)/躑躅色(つつじいろ)

寄稿者:橋本繁美 山吹色(やまぶきいろ) 目にもまぶしい鮮やかな赤みを帯びた黄色。桜が終わる晩春に咲くバラ科の低木、山吹の花の色で、平安時代から明るい黄色に使われる伝統色名。その姿は、のどかな春から生命の躍動する夏へ、季節の移ろいを体現して...
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菜の花色(なのはないろ)/萌黄(もえぎ)

寄稿者:橋本繁美 菜の花色(なのはないろ) 春の訪れに欠かせない菜の花。ほんの少し明るい緑が入った鮮やかな黄色。もとは菜種(なたね)色と呼ばれた花の色。菜種(油菜)は種から油らを採取するために栽培され、食用油のほか工業用に用いられた。黄色く...
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蘇芳香(すおうこう)/一斤染(いっこんぞめ)

寄稿者:橋本繁美 蘇芳香(すおうこう) 蘇芳香とは、ややくすみ気味の紅みの褐色をいう。蘇芳とは、染料となる植物の名前でマメ科の植物で、中国から日本に入ってきたのは8世紀以前といわれる。「香」の名前がつくように香りのよい丁子(ちょうじ)で染め...
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桜鼠(さくらねずみ)/小豆色(あずきいろ)

寄稿者:橋本繁美 桜鼠(さくらねずみ) 京都市内の桜も少しずつ咲き始めた。春は桜三月、咲けば咲いたで雨や風といった天気がきになる。さて、桜鼠とは、淡い紅色が灰色あるいは灰色みをおび、わずかにくすんだ薄い桜色のことをいう。いわゆる墨染(すみぞ...
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桜色(さくらいろ)/灰桜色(はいざくらいろ)

寄稿者:橋本繁美 桜色(さくらいろ) 日本人にこよなく愛される桜。桜色とは桜の花のような淡い紅色。紅染でもっとも淡い色。『万葉集』には奈良時代の花見は梅だったが、『古今和歌集』では平安時代に花といえば桜を指すようになった。日本人にとって桜は...
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柳色(やなぎいろ)/青柳(あおやぎ)

寄稿者:橋本繁美 柳色(やなぎいろ) 見渡せば 柳桜をこきまぜて都ぞ春の 錦なりける 古今和歌集 都の春の景色を美しい絹織物、錦であると詠んだ素性法師の歌。黄緑色の明るい柳色は桜色とともに、日本の春を代表する色。青柳、柳緑(りゅうろく)、薄...
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桃紅色(とうこうしょく)/長春色(ちょうしゅんいろ)

寄稿者:橋本繁美 桃紅色(とうこうしょく) 桃の花といえば、女の子のための「桃の節句」。別名「上巳(じょうし)の節句」。上巳とは最初の巳の日のことで、災厄に見舞われやすいとされ、平安貴族たちは自分の穢れや災いを紙人形にうつし、川や海に流して...
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水色・水縹(みずいろ・みはなだ)/薄紅赤(うすべにあか)

寄稿者:橋本繁美 水色・水縹(みずいろ・みはなだ) 雪解け水、やわらかな春雨、陽光を反射する海。春は美しい水で満ちあふれている。古くから親しまれた色で、清冽でさわやかな印象がある。『万葉集』巻十六に「水縹の絹の帯を 引帯なす」という一節があ...
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今様色(いまよういろ)/鶯色(うぐいすいろ)

寄稿者:橋本繁美 今様色(いまよういろ) 今様色とは「当世流行の色」という意味で、平安時代に流行した色のこと。当時の貴族にも愛好された元祖トレンドカラー。紅花染めによる紫みの強い赤色。『源氏物語』に光源氏が最愛の妻、紫の上に贈る衣装を選ぶ場...