寄稿3 奄美探訪記と大島紬 3 「海は山ほどおもしろい。」

奄美探訪記と大島紬寄稿記事-ことばの遊園地-

 寄稿者:橋本繁美

体感リゾートのヨロン 奄美。このキャッチフレーズは、1988年、日本エアシステム(JAS)の広告、コピーライターは東本三郎さん。上手いなぁと衝撃を受けたフレーズだけにずっと頭の中に残っている。その奄美大島に自分が来ていることに驚き、よろこんでいる。単純と言うか、素直なハートが微笑んでいる。そう言えば、日本エアシステムの前身は東亜国内航空(TDA)、あの時代のシンボルマークはグラフィックデザイナーの巨匠、亀倉雄策さんが「大空を飛ぶ」イメージからデザインしたといわれている。2002年に日本エアシステムは日本航空(JAL)と経営統合し、名が消えてしまった。

話を奄美に戻そう。鶏飯をいただいた後、今夜からの宿泊先のホテルに向かう途中、倉崎海岸に連れて行ってもらった。降り注ぐ太陽、まぶしいほどの白い砂浜と幻想的な海の色が楽しめるビーチ。その美しさに思わず息をのむ。やはり奄美の海は最高だ!砂浜を歩くと、波で砕かれた白い珊瑚礁や貝殻がいっぱい。生まれて初めて見る白い砂浜だ。いつの間にか、カタチのいい珊瑚礁を拾い始めている。まるで子どものように。静かに波打つ音、ここではヤドカリは珍しくないほど姿を現わす。何とも言えないあの動き。「こんにちは」と言っているように見えて可愛い。いきなりパンツ一丁にはなれないけれど、ここでは素足がいちばんよく似合う。こんど来るときは必ず泳げる用意。そう思わせるほど魅力的な海だ。

この日、浜で亜熱帯の奄美を位置づけてくれたのがアダンの木。その鋭い葉は力強く天に向かって逞しく、大きく長い葉は下にも向かい、そこには見た目がパイナップルに似たオレンジの色の大きな実がなっていた。大きさは20㎝くらい、アダンの実と教えてもらった。4㎝ほどの果実が複数集まった形状をしており、とても美味しそうだが、残念ながら食べられない。熟すとバラバラと果実が落ちるという。それにしても、人目をひく印象的な実だ。凄い、面白いの連発。目に入るすべての風物が、物珍しく映った一日だった。