奄美探訪記と大島紬 4 奄美は黒糖焼酎

 寄稿者:橋本繁美

初日の夕食は、名瀬にある郷土料理が楽しめるお店。上田さんの仕事仲間も加わり、一気に楽しい宴会状態。出される料理一品一品に舌鼓を打ち、生ビールをごくりと飲み干す。お代わりと思った瞬間、登場したのが黒糖焼酎「里の曙(サトノアケボノ)」(町田酒造)。氷を入れて黒糖焼酎と冷たい水を3:1の割合(好み)でいただいたら、ま、なんとすっきりと爽やかな喉ごし。口あたりが深くしっかりとして、ついつい杯を重ねてしまう。焼酎といっても、芋や麦と違ってクセがなく、濃醇なコクと甘みがまろやかに心地よく喉もとを過ぎていく。嗚呼、はじめての黒糖焼酎に、ひと目惚れ。酒好き、左党の誰かは、すっかり黒糖焼酎の虜になってしまったみたい。

話によると、黒糖焼酎は、日本で唯一、ここ奄美群島だけで作られている貴重なお酒。1953(昭和28)年、奄美の日本復帰による特別措置により、全国で唯一の地域産業として奄美群島内だけに製造が許可されたとそうだ。そんな奄美限定の黒糖焼酎はウィスキーと同じ高級蒸留酒で、なんと黒糖なのに糖分はゼロ。口に含むとサトウキビから作った黒糖のやさしい香りと、米麹由来の芳醇な風味が広がり、いまや大人気の黒糖焼酎。

人気の銘柄は、クラッシックによる音響熟成の「れんと」をはじめ、「高倉」、「奄美」、「加那」などいろいろ。いずれにせよ、昔ながらの仕込みで丹念に仕上げられた黒糖焼酎は南国の感動を呼ぶお酒だ。 夕食を終えた後、奄美髄一の歓楽街、屋仁川(やにがわ)へ移動。といっても、歩いてすぐのところ。地元の人は愛着をこめて「ヤンゴ」と呼んでいるとか。お店は常連のナイトスポットらしく、きれいどころも親しく声をかけ、ま、なんと和やかな雰囲気。キープされているお酒の棚を見てびっくり、なんとウィスキーなど洋酒は一切並んでいない。そこには郷土愛ともいえる黒糖焼酎の銘柄のオンパレード。さすが奄美、地元の人間にとっての酒は黒糖焼酎がメインなのだ。京都の祇園や木屋町では見られない光景だ。そして、初日の夜から楽しい時間を過ごしてホテルの部屋に戻った次第。翌朝、目を覚ましてまたもや驚き、昨夜あれだけ飲んだのに二日酔いというか、お酒が残っていない。朝食も実に旨い。これは単なる酒飲みだからではない、あらためて黒糖焼酎のよさを実感したのである。

奄美黒糖焼酎 奄美の杜

関連記事