寄稿86_1 沢山の手技と思いがこめられた大島紬

奄美探訪記と大島紬寄稿記事-ことばの遊園地-

寄稿者:橋本繁美

大島紬は多くの人の手と長い時間をかけて生まれる。その工程は大きく分けると30といわれている。少し前に書いた整経、糊張りに続いて、絣締(かすりじめ)がある。図案に沿って紋様部分を固く織り込む作業で、一度目の織りともいわれる。たて糸の綿糸で絣になる絹糸を織り締めして防染、染まらないようにする。締機の作業は強い力が必要だ。

次に、染色。織り締めされた絣糸の束や地糸を染める工程。伝統技法の泥染や藍染め、植物染色などで多用な色彩に染めあげていく。そして、絣部分解き・目破(めやぶり)の工程へ。織りに入る前に、染めあがった糸の加工をおこなう。織り締めしている綿糸を切って、絣を露出させる目破という作業。部分色差しのため、部分的に糸を解くため、部分解きといわれる。

さらに、すり込み染・色差しの工程へ。部分解きした絣に、図案に基づいて染料を刷り込んでいく。この作業は摺込捺染と呼ばれ、竹製や金属製のヘラ、針、スポイトなどの道具が使われる。私は最初に目にしたとき、せっかく織り込んだものをバラしているのでこの工程の意味がわからなかった。恥ずかしい話だ。色差しが終わった絣糸のすべての綿糸を取り除く作業を絣全解、またはバラ裂きという。織られた状態のものを糸にしていく工程となる。