日本の色を愉しむ

寄稿者：橋本繁美藤黄（とうおう）温かみのある冴えた黄色。藤黄は中国の伝統的な顔料「藤黄（トウホアン）」を日本語読みした色名。東南アジアが原産の草雌黄（くさしおう）というオトギリソウ科の熱帯常緑樹。その樹脂からつくられ、そのあざやかな黄色から...

寄稿者：橋本繁美若竹色（わかたけいろ）その年に生えた若い竹のような爽やかな緑色。健やかに成長していく若い竹の幹肌をイメージした色名。竹の成長が進むと力強い青緑の「青竹色」となり、年老いると、くすんだ「老竹色」と色名が変化する。冬でも青々と茂...

寄稿者：橋本繁美黄丹（おうに）昇る朝日の色を写したとされる鮮やかな黄赤。黄丹は顔料の名称で「おうたん」とも読まれ、赤色顔料である鉛丹（えんたん）の別名。染料では紅花（べにばな）と支子（くちなし）で染めた赤みを帯びた橙色をいう。かつて皇太子だ...

寄稿者：橋本繁美熨斗目色（のしめいろ）灰みの強い鈍い濃い青色。熨斗目とは、経に生糸、緯に半練糸を用いた平織りの絹織物のことで、無地のほかに縞や格子を織り出したもの。後に、これで仕立てられた小袖を熨斗目というようになり、江戸時代では士分（武士...

寄稿者：橋本繁美半色（はしたいろ）穏やかで優雅な色。「半」というのは中間の意味で、「端」とも書き、どっちつかずの色という意味。紫根で染めた「濃き」と「薄き」の間の色、紫の中間の色をいう。禁色の紫色や紅の濃淡の中間にあって、それらの名前では呼...

寄稿者：橋本繁美卯の花色（うのはないろ）卯の花のようなわずかに黄みがかった白色。卯の花は初夏に小さい白い花が枝いっぱいに咲く空木（うつぎ）。可憐な卯の花の白さが雪のように見えることから「雪見草」とも呼ばれ、平安時代には「雪かとまがう」と形容...

寄稿者：橋本繁美青丹（あおに）青丹は岩緑青（いわろくしょう）の古名。青土のような暗く鈍い黄緑色をいう。青土は「あおに」と読まれ、「青丹」と書かれるようになる。「丹」は土の意味。ちなみに、もともとは青土とかいて「あおに」と読んでいた。『万葉集...

寄稿者：橋本繁美群青色（ぐんじょういろ）紫みがかった深い青色。鉱物の藍銅鉱（アズライト）を原料とする岩群青を使った顔料。同じく、ラテン語で青い石を意味する「ラピス・ラズリ」が瑠璃と知られるまでは、最も美しい青とされていた。日本画の水の表現に...

寄稿者：橋本繁美空色（そらいろ）晴れた日の空のような明るい青色をさす。「空天色（くうてんしょく）」や「碧天（へきてん）」といった美しい別名をもつ。藍による下染の色のひとつとしてあげられ、中色（なかいろ）ともいって花色と浅葱の間の色調である。...

寄稿者：橋本繁美支子・梔子（くちなし）「支子」は「梔子」とも書き、アカネ科の常緑低木。夏開く花は芳香があり、その実で染めた色。支子の単一染はあたたかみのあるやや赤みがかった黄色で「黄支子」といわれる。古くから黄色を染めるために用いられたが、...