寄稿記事-ことばの遊園地-

旧暦のある暮らし

日本の七十二候 蒙霧升降(ふかききりまとう)

寄稿者:橋本繁美 立秋 末候 蒙霧(もうむ)は、もうもうと立ち込める深い霧のことで、秋の深まりを感じるころ。霧は地表や水面の近くで水蒸気が非常に細かい水滴となって漂う現象、特に盆地で発生しやすい。古代の人々は、ため息が霧になると思っていたの...
京の旬感

寄稿89 織姫社七夕祭に「棒振り囃子」奉納・秋の七草

寄稿者:橋本繁美 織姫社七夕祭に「棒振り囃子」奉納 8月7日(日)18時半、今宮神社(京都市北区紫野)において、織姫社七夕祭が斎行された。これは西陣の業祖神である織姫大臣に感謝を捧げる祭りで、織姫の神と西陣の人々がひとつになって西陣を作り上...
旧暦のある暮らし

日本の七十二候 寒蟬鳴(ひぐらしなく)

寄稿者:橋本繁美 立秋 次候 夏の終わりを告げるかのように、寒蟬が鳴くころ。日が暮れてから鳴くところから「ひぐらし」という名がついた。日暮れだけでなく、早朝や曇った日にも鳴くが、明るい日中は鳴かない。「かなかな」と高く澄んだ鳴き声は、過ぎ行...
奄美探訪記と大島紬

寄稿88 精緻な絣。技の出会う瞬間。

寄稿者:橋本繁美 編集:枡儀 前回記事はこちら 織工はまず「立て付け」という、機(はた)にタテ糸をセットする作業をおこなう。この作業は立て付け専門の職人が行うこともある。 千切に巻いたタテ地糸と、板巻きしたタテ絣糸を図案に合わせて配列する。...
旧暦のある暮らし

日本の七十二候 涼風至 (すずかぜいたる)

寄稿者:橋本繁美 立秋 初候 立秋となり、涼しい風が吹きはじめるころ。まだまだ残暑は厳しいものの、夕暮れになればどことなく涼しげな風が吹き、草むらから虫たちの音色が聞こえはじめる。さわやかな秋の訪れ、季節の移ろいが感じられるようになってくる...
旧暦のある暮らし

日本の七十二候 大雨時行(たいうときどきにふる)

寄稿者:橋本繁美 大暑 末候 夕立や集中豪雨など夏の激しい大雨が時々降るころ。青空にむくむくと湧き上がる入道雲が、突然の雷鳴とともに夕立に変わり、乾いた大地を潤す。夕立はまっ白に煙るように降るので「白雨(しらさめ・はくう)」ともいわれ、低気...
奄美探訪記と大島紬

寄稿87 それぞれ糸の工程が命、大島紬

寄稿者:橋本繁美 編集:枡儀 絣全解、またはバラ裂きの工程のあと、絣糸を1種類ずつ木枠に巻き取る。この作業を「揚枠(あげわく)」という。絣糸は水洗し、糊付け。そのあと、16本ほどの糸束となっているタテ絣糸を1本1本バラバラにしながら糊張り台...
旧暦のある暮らし

日本の七十二候 土潤溽暑(つちうるおうてむしあつし)

寄稿者:橋本繁美 大暑 次候 土が湿り、蒸し暑くなるころ。「溽暑 (じょくしょ)」とは、じっとりと蒸し暑いことを表わす。ここでいう草熱(くさむれ)とは、生い茂った草むらが、強い陽射しに照らされて放つ、むせかえるような熱気のこと。「草の息」と...
奄美探訪記と大島紬

寄稿86_1 沢山の手技と思いがこめられた大島紬

寄稿者:橋本繁美 大島紬は多くの人の手と長い時間をかけて生まれる。その工程は大きく分けると30といわれている。少し前に書いた整経、糊張りに続いて、絣締(かすりじめ)がある。図案に沿って紋様部分を固く織り込む作業で、一度目の織りともいわれる。...
寄稿記事-ことばの遊園地-

寄稿86_2 扇(おうぎ)と団扇(うちわ)

寄稿者:橋本繁美 扇の語源は「あふぎ(あおぎ)」。扇ぐものの意。扇はもともと日本で作られたもので、それが中国へ渡って扇子と呼ばれ、その言葉がまた日本に伝わったそうだ。扇は中国にとどまらず、ヨーロッパにまで伝わった。扇は風を起こすためだけでは...